2009年4月6日月曜日

パラスとケンタウルス (ボッティチェリ・サンドロ作)


パラスとケンタウルス:Pallas and the Centaur(1482)
サイズ:207 x 148 cm ウフィツィ美術館蔵(イタリア)
作者:ボッティチェリ・サンドロ Botticelli, sandro (イタリア, 1444-1510) 


 この絵は、フィレンツェ市の宮殿のドアの上に掲げられていましたが、1975年まで発見されませんでした。

 この絵のパラスのドレスの上に織り合わせられた3個のリングは、メディチ家が関与していたことを示すものです。

 また、むき出しの背景は、見る人を、2人の人物へ集中させるためのものです。

 半人半馬のケンタウロスは、禁制の領土に侵入したため、盾と矛槍で武装したニンフによって、髪の毛を掴まれ押さえつけられています。

 このニンフは、女神パラス・アテナとアマゾン・カミラの両方として現され、貞節なヒロインであるとウェルギリウスのアエネイドであるともされています。

 この絵のなかで、美徳(ニンフ)が好色(ケンタウロス)に対し勝利するということともに、人間の本質は、戦闘を好み、好色であることも表しているとされています。



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2009年4月5日日曜日

ヴィーナスとマルス(ボッティチェリ作)


ヴィーナスとマルス Venus and Mars
サイズ:69 x 173 cm  ロンドン ナショナルギャラリー蔵
作 者:ボッティチェリ・サンドロ Botticelli, sandro (イタリア 1444-1510) 


 ヴェスプッチ家の依頼により、古代ギリシャの詩人ルシアンがアレクサンダー大王の結婚について書いたecphrasisにヒントを得て描かれています。

 この絵は、愛の力が、軍神をも打ち負かすことをテーマとしています。 

 草地に、互いに向き合って座る二人の神の背景には、マートル木々(ビーナスの木)が描かれています。

 ヴィーナス(愛の女神)は高級な白と金のガウンを着て、眠っているマルス(戦争の神)を注意深く監視しています。

 マルスは、甲冑を脱ぎ捨て、白い布のみで赤いマントに裸で横たわっています。

 二人の間で、小さい羊の足に、角、尻尾を持つサテュロスが、軍神の武器と鎧兜で悪ふざけして遊んでいます。

 このうちの一人が、古代に狩猟用の角笛として使用されたトリトンシェルをマルスの耳元で吹いています。 

 ヴィーナスがマルスの暴力性をコントロールするということで、ルネサンスのテーマであった愛とヒューマニズムを良く表している作品といえます。



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ヴィーナスの誕生(ボッティチェリ・サンドロ作)


ヴィーナスの誕生 The Birth of Venus

サイズ:172.5 x 278.5 cm ウフィツィ美術館蔵 

作 者:ボッティチェリ・サンドロ 


 この大きな絵は、1482年以前、プリマベーラと同様にメディチ家の依頼で制作されました。 

 ウラノスから切り取られた男根が、海に落ち、そこから泡がたち始め、美しい娘ヴィーナスが現れました。

 この愛と美の女神ヴィーナスは、大きな貝に乗り、ゆったりとした波の上を、ゼフュロス(西風の神)によって吹かれた風で岸に送り届けられます。

 ゼフュロスに抱きついた彼の妻フローラは、バラの花を撒いてヴィーナスの誕生を祝福しています。

 ヴィーナスは、黄金の果樹園に住む季節の女神のひとりホーラと出会い、花で飾られた外套を与えられます。 

 この絵は、ローマカトリック教会の影響力が強かった当時に、その考えを異にするギリシャ神話を題材にしたものでありましたが、その後の、サヴォナローラの異教撲滅の「虚栄の焼却」から免れることができました。



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プリマベーラ(春)(ボッティチェリ・サンドロ作)


プリマベーラ(春) La Primavera

サイズ:203 x 314 cm ウフィツィ美術館蔵 

作 者:ボッティチェリ・サンドロ 


 この絵は、メディチ家の別荘に春が訪れた様子を描いていると言われています。 

 ヴィーナスは、絵の中央に描かれ、しかも他の神々よりちょっと後ろに立っています。

 彼女の上にはキューピッドがいて、エレガントにロンデルを踊っている三美神に、愛の矢を向けています。 

 このヴィーナスや三美神の守り神として左端にマーキュリー(エルメス)がいて、手を伸ばして雲を掴んでいます。

 彼は、炎の様に輝く赤い外套を着て、ヘルメットをかぶり、剣をさしていて、正にこの庭園の守護神です。

 この神のメッセンジャーは、また、翼のある靴と2 匹のヘビが巻きつき頂上に双翼があるつえを持っています。 

 右端には、風の神ゼフュロスが力強く、妖精クロリスに向けて風を吹いています。その隣が、春の女神フローラで花を撒きながら歩いています。 

 この絵には様々な解釈があり、そのひとつに、愛はローマ、三美神はナポリ・ピサ・ジェノバ、マーキュリーはミラノを意味するというものもあります。



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森のハンティング (パオロ・ウッチェロ作)


森のハンティング The Hunt in the Forest
アッシュモリアン美術館蔵
作 者:パオロ・ウッチェロ


 この絵は、暗くなっている森林の中で、猟犬が跳ねて、馬が地面を蹴って走り、大勢の男達が大声で叫んで獲物を追い詰めているという非常に騒々しい場面を描いています。

 この場面は、ウッチェロが夜の狩りを想像して描き、人々や動物が非常に活き活きとしています。

 おそらく趣味の良い裕福なの家の壁を飾るために制作されたようで、当時のハンティングという世俗的な様子を扱った絵としては、珍しく今日まで残っています。 

 この絵は、ノクターン調の風景とすばらしい構図を併せ持つオリジナル溢れる絵です。 

 ウッチェロは、数学的遠近法の初期のパイオニアで、計算に基づく遠近法のため絵の中心に点を設定し、この点に向けて大きさを考えながら、多くの人物や動物、木々、手前の池、猟師のやり、転がっている丸太などを配置し、描きながら中心の点を消去していったそうです。 

 なお、馬の装身具に三日月がありますが、これは、古典的な狩りの女神ディアナを象徴しているそうです。



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第九の波(イワン・アイバゾフスキー作)


第九の波   The Ninth Wave. 1853 

サイズ:221 x 332 cm ロシア国立美術館蔵 

作 者:イワン・アイバゾフスキー


 昨夜からの激しい嵐で、彼らの船は難破し、多くの乗員・乗客が海の底に沈んでしまいました。

 マストしがみついている彼らも、マストを離れこのまま泳いでいくことも不可能と悟り、死を覚悟しています。

 同時に、彼らは沈み行くマストに必死にしがみつき、この状況を脱し生き抜くことへの希望も捨てていません。

 折れたマストにしがみついている人々を、大きな波(第九の波)が今にも飲み込んでしまいそうな悲惨な状況にあるにもかかわらず、とても温かい色調で描かれ、また雲間から輝いている現れる朝の光が、この遭難している人々を、あたかも助かるのではないかと見る人に希望を与えてくれているようです。

 第九の波とは、船乗りの言葉で、荒れる海のなかでも他の波よりひときわ大きい波を指し、この波を無事乗り越えることができれば、この荒海から生還できるとの言い伝えがあるそうです。


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2009年4月4日土曜日

忘れえぬ女(イワン・クラムスコイ作)


忘れえぬ女 Unknown Woman
サイズ:75.5 x 99 cm トレチャコフ美術館蔵
作 者:イワン・クラムスコイ  

 この見知らぬ女は、すばらしいドレスを着せられた女性がりっぱな馬車に乗ってサンクトペテルブルグのAnichkov橋へ走って行く姿を描いています。

 ロシア国内のどこかから来た女性で、王族か貴族の者の愛人であるとも言われています。

 この絵は、トレチャコフ美術館の創始者のパーヴェル・トレチャコフの肖像画の隣に飾られていましたが、トレチャコフ自身は彼女のモデルとの関係を否定しています。

 ロシア革命の後、トレチャコフが生きている間に、この絵が二度と飾られることはありませんでした。

 その後、モスクワの収集家に売却されましたが、再びトレチャコフ美術館に戻ってきました。

 ロシアが誇る人物画として世界中に知られているこの見知らぬ女は、その素性を別にしてロシアの聖母として、ロシア人の精神的支柱のひとつになっているそうです。


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